横田等のロサンジェルス・ダイアリー =最終(13)回=

*** 8月28日 月曜日 *** この日記をつけるのはきょうが最後になるはずだ。 ※ 昨夜は十二時近くになってから電話をかけて、真紀を少し驚かせてしまった。…突然かけるにしても、それまでは、よほどのことがない限りは、(ほら、木曜日の習慣にならっ…

横田等のロサンジェルス・ダイアリー =12=

*** 8月27日 日曜日 *** 何と言ったらいいのか…。 きょうは、思いもかけない一日になってしまった。 ※ 夕方、すうっと、僕の気持ちが固まってしまったんだ。 ※ いや、けさも、このところいつもそうであるように、ちゃんと目が覚めきらないうちから…

横田等のロサンジェルス・ダイアリー =11の2=

『日米新報』の三面トップ記事は、来年の大統領選挙に関して通信社が行なった世論調査の結果報告だったから、特ダネ争いでは、この日も『日報』の大勝利だったよ。 ※ 翌日の土曜日。 ほとんど自宅で書きあげていたのか、午前十時ごろにはもう仕上がった編集…

横田等のロサンジェルス・ダイアリー (1995) =11の1=

*** 8月26日 土曜日 *** 明らかに睡眠不足だな、この感じ。…テープレコーダーに向かって午前三時ぐらいまでしゃべっていたからね、昨夜(というよりけさ)は。 江波さんはきょうも〔編集員募集〕の広告は出さなかった。すっかり忘れていたのか、ス…

留学生・横田等のロサンジェルス・ダイアリー (1995) =10= 

8月25日 金曜日 この声の日記をつけ始めた日から数えて十一日目。 今朝は、江波さんに不意打ちを食らわされてしまった。 そもそも、いつもよりも遅く目を覚ましたのがいけなかったんだよね。あとの行動パターンがすっかりずれてしまって、あの人のところ…

留学生・横田等のロサンジェルス・ダイアリー (1995) =9= 

8月24日 木曜日 きょうは真紀に電話をかける日だから、話はあまり進まないかもしれない。いや、横道にそれてなきゃ、きのうだって先へ進んでいたんだろうけど、あれこれ頭に浮かんでくることがみな重要なことに思えてしまったもんだから。 ※ 今夜の[フレ…

横田等のロサンジェルス・ダイアリー =7-8=(1995)

*** 8月22日 火曜日 *** 昨夜はほんのちょっとしゃべっただけで終わってしまった。…九時少し前に、このホテルの住人の一人である柴田さんが僕の部屋にやってきて、それっきり、カセット・レコーダーに向かうことができなかったから。 柴田さんとい…

横田等のロサンジェルス・ダイアリー (1995年)    =5~6= 

横田等のロサンジェルス・ダイアリー =5= *** 8月20日 日曜日 *** 土曜日の『南加日報』は(大きなニュースが急に飛び込んできたりしなければ)大半を金曜日までに記事の書きだめ、タイプの打ちだめをしておいたニュースで埋めるから、版下はだ…

横田等のロサンジェルス・ダイアリー (1995年)      =3~4=  

*** 8月17日 木曜日 *** 昨夜はきりの悪いところで眠り込んでしまって…。(そこからはほんの四、五メーター先にある隣の大きな倉庫のレンガ壁しか見えない)窓のわきに備えてある六〇センチメーター四方ぐらいの小さなテーブルの上に投げ出した両腕…

小説 「横田等のロサンジェルス・ダイアリー」(1995年)=1~2= 

----- (ストーリー中の人物、企業、団体などはすべて創作されたものです) *参考著書* 「アメリカの日本語新聞」田村紀雄(新潮選書) 「藤井整の言論活動 - 『加州毎日』創刊から日米開戦まで」関宏人(慶応大学卒業論文) ----- *** 1995年8月…